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イボ|小田急相模原駅前徒歩1分の小田急相模原駅前 やすおか皮フ科・形成外科

イボ

そもそも、「イボ」って、いったい何?

「イボ」は、皮膚から盛り上がっている小さなできもの一般を指す俗語です。ですから、患者さんが「イボができた」と言って受診されるものの中には、私達から見ると、実に様々の異なる皮膚病(多くは皮膚の腫瘍です)が含まれています。
最も普通の「イボ」は「ウイルスが感染してできるイボ」で、専門用語でウイルス性疣贅と呼ばれるものです。その他にも、ミズイボ(専門用語では伝染性軟属腫)や中年イボ(専門用語ではスキンタッグ)や年寄りイボ(専門用語では老人性疣贅あるいは脂漏性角化症)を初めとする多くの皮膚病があります。中には悪性腫瘍のこともありますので、診断には慎重を要します。もちろん、安易な自己診断は禁物です。
もっとも、医者が狭い意味で「イボ」と言う場合、通常はウイルス性疣贅を指します。ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染によって生じます。HPVは正常の皮膚・粘膜には感染せず、小さい傷などを介して感染し疣贅を形成するため、外傷を受ける機会の多い手のひらや足の裏、指先などに好発します。尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)とよばれるものです。増大するとともに数㎜から数㎝まで増大します。

子供の手や指に好発する。治療は外科的切除、液体窒素による冷凍凝固、モノクロロ酢酸の塗布などがあります。但し、増大すると、完治まで時間がかかるので早めに受診をしましょう。

当院では痛みの少ない治療法を提案することもできますので、お気軽にご相談ください。

イボもミズイボもウオノメもタコも、いずれも皮膚病の俗称です。日常よく口にするありふれた言葉ですが、それぞれについての正しい知識はと言うと、意外に乏しいのが現状のようです。これらの言葉が混同して用いられていることも少なくなく、また医者が見ても、これらの皮膚病の診断そのものが難しいことがあります。自己診断で治療したばかりに、重篤な事態を招いてしまった患者さんもいらっしゃいますので、「たかがイボ」、「たかがウオノメ」などと軽々に扱うことのないようにしましょう。

 

イボ(ウイルス性疣贅)は、どうしてできるのですか?

イボは、ヒト乳頭腫ウイルスと言うウイルスの一種が皮膚に感染してできます。ヒト乳頭腫ウイルスはhuman papillomavirusの日本語訳です。日本語訳と英語読みを組み合わせてヒトパピローマウイルスと書いたり、英語名をHPVと略して書いたりもします。このHPVには多くの種類があって、普通のイボ以外にも、ある種のものが性感染症(性病)である尖圭コンジローマの、他のある種のものが子宮癌の原因ウイルスとして注目されていますので、そのような話題でも、これらの異なるウイルス名を新聞・雑誌やテレビなどで見聞きされることが多いと思いますが、呼び名が違うだけで同じウイルスを指しています。HPVのうち、さらにある種のものが皮膚や粘膜の細胞に感染すると、見た目の異なるいろんなイボができ、それらを全部ひっくるめた呼び名がウイルス性疣贅です。

皮膚は表面の方から順番に、表皮、真皮および皮下組織と呼ばれる3つの層からできています。表皮は角化細胞とよばれる細胞が何層にも重なってできているのですが、その一番外側にあるのが角質層です。深くなるに従って顆粒層、有棘層と名前を変え、一番深い層が基底層です。皮膚はこのように何層にもなって、免疫の働きなどとも力を合わせて、私達を外界の有害刺激やウイルスや細菌感染などから守っています。
イボのウイルスも正常の健康な皮膚には感染できない(と考えられている)のですが、小さな傷などがあるとそこから皮膚に入り込んで、基底層にある細胞(基底細胞と呼ばれます)に感染してイボをつくると考えられています。感染を受けた基底細胞は細胞分裂が活発になり、まわりの正常細胞を押しのけて増え続けます。もっとも、理由はまだよく分かっていませんが、ある程度の大きさ以上にはなれないみたいです。こうしてできた感染細胞の塊が、私たちが日常見ているイボの正体です。外陰部や口など皮膚に連続する粘膜も皮膚と似たような構造をしていますので、同じようにしてイボができます。外陰部のイボは、特に尖圭コンジローマと呼ばれ、性感染症として扱われます。
このように、イボができるためには小さな傷を通してウイルス(HPV)が皮膚や粘膜に入り込み基底細胞に到達する必要があります。外傷を受けることの多い手足や外陰部に、あるいはアトピー性皮膚炎の子供たちなどの特に引っ掻くことの多い肘・膝窩にイボができ易いのはこのためです。
このような「イボのできるメカニズム」を知っておくことは、予防のためのヒントにもなります。

 

イボ(ウイルス性疣贅)には、どんな種類がありますか?

ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)が皮膚や粘膜の基底細胞に感染してイボができることを説明しましたが、HPVにはウイルスを構成するDNAの違いにより多くの異なる型(遺伝子型と呼ばれます)があることが分かっています。今までに150種類以上もの型が見つかっていますが、ウイルスの検出法が進んで、その数はもっと多くなりそうな勢いです。この型の違いによって、感染しやすい場所や、できるイボの種類(見ため)が異なることも分かっています。そればかりでなく、ある種の型(普通のイボをつくるものとは異なります)が、子宮癌や皮膚癌などの原因になっていることも分かって来ています。
このようなことから、HPVを主に皮膚に感染する皮膚型と外陰部や膣や子宮頸部などに感染し易い粘膜型に、癌を起す能力の違いから良性型と悪性型に大まかに分けたりもします。普通のイボをつくるHPVは、もちろん良性型に入ります。
このように、HPVの型の違いによって色々なイボができますが、そのうち代表的なものを挙げておきますと、最も普通に見られるのが、手足にできるイボで、尋常性疣贅です。顔にできる糸状疣贅(しじょうゆうぜい)や足の裏にできる足底疣贅(そくていゆうぜい)も、見た目は違いますが尋常性疣贅の仲間です。尋常性疣贅以外では、顔や腕にできることの多い扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)や外陰部にできる尖圭コンジローマやボーエン様丘疹症などがあります。
ちなみに、尋常性疣贅がHPV2型や57型など、扁平疣贅が3型や10型など、尖圭コンジローマが6型や11型など、ボーエン様丘疹症がHPV16型などを主な原因とすることが分かっています。HPV16型は、子宮癌の原因として注目されている型でもあります。

 

イボ(ウイルス性疣贅)はうつるのですか?

イボ(ウイルス性疣贅)は、今まで書いて来ましたようにウイルス(HPV)が感染してできる皮膚や粘膜の病気ですから、もちろん「うつる」可能性を秘めています。しかしながら、私たちの皮膚や粘膜は解剖学的な構造や免疫の働きなど他の様々のバリアー機構でウイルスや細菌などの感染から守られており、正常の皮膚や粘膜には通常感染しにくいと考えられます。
ただし、皮膚や粘膜に小さい傷ができて侵入を許したり、様々の感染から私たちの身体を守っている免疫力が何らかの理由で低下すると、イボができ易かったり、ひどくなったり、治りにくくなることが知られています。したがって、免疫力の低下を引き起こすような病気に罹っている時、免疫を押さえるような治療を受けているような時やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリヤー機能が低下しているような時には、特に注意が必要です。また、特別な場合ではなくても、手あれや髭剃りなどに伴う眼に見えないくらいの小さな傷からも侵入しますので要注意です。
また、「うつる」ことについて言えば、尖圭コンジローマやボーエン様丘疹症が性行為でうつる性感染症(性病)であることも、ぜひ知っておいて下さい。特にボーエン様丘疹症は、子宮癌とだいたい同じ型のHPVが感染して生じますので、この点からも性パートナーを含めた感染予防や治療が必要です。

 

子宮癌がイボのウイルスが原因と聞いたことがあります。イボは癌になるのですか?

子宮癌のうち子宮頸癌の原因の一つとして、ある種のイボのウイルス(HPV16型の感染のことが最も多い)が感染して起こる可能性がクローズアップされています。皮膚癌の中では、昔から疣贅状表皮発育異常症(ゆうぜいじょうひょうひはついくいじょうしょう)と言う稀な皮膚病の患者さんにできるものがウイルス感染で起こるらしいと考えられていましたが(今ではHPV5型を初めとする特定のHPV型が原因であることが分かっています)、これとは別に外陰部や指にできる皮膚癌から子宮頸癌と同じ種類のHPVが見つかることが最近になってわかり、子宮頸癌を起すHPV16型などが外陰部や指にも感染して癌の原因になっているのではないかと考えられています。
このように、子宮頸癌やある種の皮膚癌がHPVで起こる可能性が分かって来ましたが、先述通りHPVには多くの型があり、子宮頸癌がHPV16型、疣贅状表皮発育異常症に生じる皮膚癌がHPV5型など、癌を起しやすいHPVの型が決まっているらしいことも分かっています。普通のイボは全く違う型のHPVが原因ですので、普通のイボが癌になるとは、基本的には(もちろん、免疫が低下している時など、いつも例外はありますが)考えなくて良いでしょう。
ただし、一般の方が「イボ」と呼ばれる皮膚病には色々な種類の皮膚腫瘍が含まれています。時には悪性腫瘍のことがないとは言えません。自己診断せずに、必ず診断を受けることが大切です。

 

イボの治療はどうするのですか?

イボの治療は、その成り立ちから考えて(1)原因となっているウイルス(HPV)を退治する、(2)できてしまったイボを何らかの方法で排除する、の二つの方法が考えられますが、未だ特効薬や特効的治療法は無いと言うのが現状で、イボの治療には、多くの医者が苦労しているのが正直なところです。イボの種類や発生部位などが患者さんよって違いますから、治療は液体窒素を用いた冷凍凝固療法などの外用療法やヨクイニン内服療法などの中から、それぞれの患者さんに最も適していると思われるものを選んで行われます。これは、どの患者さんにとっても「これが一番効く」と言う治療法が無いからです。一人の患者さんにとても良く効いた治療法が、別の患者さんに効くとは限らないところがイボ治療の難しいところです。
また、どの治療法を用いても、多くの場合一回の治療で治すことは難しく、何回か繰り返してやっと治るのが普通だと言うことも知っておいて欲しいと思います。「自分のイボだけが治り難いのでは?」と、焦らないことも大切です。反対に、無数にあったイボが、あっと言う間に消えてしまうこともあります。
できる限り早く治せるように、当院では工夫を凝らして治療にあたっています。

イボでお悩みの方は当院にご相談ください。